たった6畳で叶えた「珈琲焙煎所 やくし」誕生秘話
2025.04.07
浜松市中央区薬師町にひっそりと佇む「珈琲焙煎所やくし」。浅煎りから深煎りまで、世界各国の個性豊かなコーヒー豆が並ぶこの場所は、オーナーの松島史弥さんの長年の夢が形になった空間です。REMOXがお手伝いした、その開業までの道のりを紐解きます。
コーヒーとの出会い、そして焙煎への情熱
松島さんがコーヒーに惹かれたのは、高校時代の部活動を終え、自由な時間ができたことがきっかけでした。「大人びた味がする」とブラックコーヒーを飲み始めたことから、コーヒーの世界に足を踏み入れたと言います。その後、カルディでコーヒーを淹れるうちに、焙煎という奥深い世界があることを知ります。特に、大学生の頃に訪れたという、暗くバーのような隠れ家的な自家焙煎店での体験は、松島さんに強烈な印象を与えました。**「いつか自分もこんな雰囲気の、こだわりのコーヒーを提供できる店を持ちたい」**と、心に深く刻まれたのです。
管理栄養士の資格を持つ松島さんは、食に対する探求心が人一倍強く、その延長線上に趣味のコーヒーがありました。会社に勤めながらも、「自分の焙煎したコーヒーを直接お客様に飲んでいただきたい」という想いを抱き、週末にはイベントなどで自家焙煎コーヒーを提供していました。お客様の喜ぶ顔を見るたびに、「自分の店を持ちたい」という気持ちはますます強くなっていったと言います。
「見た目からガッとつかまれた」REMOXとの出会い
開業を決意した松島さんが店舗の形を探していた時、偶然InstagramでREMOXの存在を知りました。**「パッと目に飛び込んできたREMOXの小屋は、まさに理想の形だった」**と、その第一印象を語ります。資料請求、オンライン相談を経て、実際に建てたい場所を見てもらうことに。そこでREMOXの担当者と具体的な相談が始まりました。
松島さんの自宅の庭は、昔ながらの灯篭や大きな岩が配された趣のある日本庭園でした。おしゃれな小屋を建てても、この庭の雰囲気と調和するのかどうか、当初は不安もあったと言います。そこで松島さんは、小屋だけでなく、庭を含めた外構全体のデザインを提案してほしいとREMOXに要望しました。
古い庭を生かした、隠れ家のような空間デザイン
REMOXのデザイナー、丸山さんは、松島さんの想いを丁寧にヒアリングし、庭の持つ和のテイストを生かしつつ、お客様を迎える店舗と家族のプライベート空間をしっかりと分けるプランを提案。撤去も検討された庭の大きな岩は、あえて残し、腰掛けのように活用するアイデアが生まれました。「落ち着いた雰囲気のカフェが好き」という松島さんの好みに合わせ、店内は明るめのスポットライトではなく、光を絞った照明を採用。カウンターにはペンダントライトを設置し、手元だけを優しく照らす、隠れ家のような大人の空間が演出されました。道路側にあえて窓を設けず、開放的にならないように工夫した点も、松島さんの理想とする雰囲気に合致しました。
6畳という限られたスペースに、「焙煎スペース」「接客・販売スペース」の三つを確保できるかという懸念もありましたが、REMOXのデザインによって見事に解決。「天気の良い日には庭にも出ていただけるように」という配慮も、狭さを感じさせない工夫の一つです。
念願の開業、そしてこれから
打ち合わせを重ね、イメージを共有しながら進められた店舗づくり。完成した「コーヒー焙煎所 薬師」は、住宅街にありながらも、ひっそりと佇む隠れ家のような、特別な空間となりました。念願の自家焙煎店を開業し、通勤時間もわずか10秒という環境が松島さんのライフワークバランスととても重なり、自身の焙煎したこだわりのコーヒーを多くの方に届ける喜びに満ちています。
「自宅で開業したいと考えている方へ」と問われた松島さんは、「個人事業主として、一人で始めるにはちょうどいいサイズ感だと思います」と語ります。開業に関する不安も、REMOXのサポートによってスムーズに進めることができたと言います。
古い日本庭園に新たな息吹を吹き込んだ「珈琲焙煎所 やくし」。その空間で焙煎される香り高いコーヒーは、訪れる人にやすらぎと特別な時間を与えてくれることでしょう。
「見た目からガッとつかまれた」REMOXのデザインと、オーナーの熱い想いが融合した、素敵な開業事例です。
